丁度、高校に通っていた頃の話。将来、一緒にコンピューター関連の会社を作ろう!と持ちかけていた兄貴分がいた。その当時のコンピューター仲間のリーダー格だった人で、彼はいつの間にか、たまり場となっていたコンピューターショップの店長になっていた。その頃は自分は夢に燃えて勉強に夢中になっていたので、コンピューター仲間とは疎遠になっていたが、たまたまその日に限って高校からの帰宅時に遠回りをして、コンピューターショップの前を通った。
丁度、コンピューターショップの前を通り過ぎようとした瞬間に突然、自転車のチェーンが外れた。自転車から降りて、チェーンを元通りにしたのは良いが、油で手が真っ黒になってしまった。丁度、都合が良い事に店長が兄貴分だったので、ドタドタと店に入って行って、図々しく手を洗わせてもらった。久々だったので店のカウンターに座り込んで兄貴分と色々な話をした。
その時、奇妙な事に兄貴分の腕から肩にかけてのラインが白くモヤモヤとぼけていた。視力2.0の自分の目がおかしくなったのかな。。。疲れているのかな。。。ととても気になったのを覚えている。それから丁度3日後にコンピューター仲間の1人から電話があった。兄貴分が事故死したと。。。
事実だと信じられなくて、コンピューターショップに行った。そこにはビニールシートがかけられた車があった。フロントが潰れた確かホンダのCR-X。。。兄貴分の車だった。それから仲間と兄貴分の家に行った。顔に傷を負った兄貴分が木の箱の中で眠っていた。そしていつも行くと喜んでくれていた兄貴分の母親が泣き崩れていた。
悲しみが和らいだ頃、亡くなる3日前に会った時の事を思い出した。体の線がモヤモヤとぼやけていた事。ずっと疑問に思っていたが、やはり20代にその現象の答えに辿り着けた。人は死の数日前位から湯気の様に魂が抜け始めるという事。それを止める事は出来ないのか。。。浅はかながらそう思い始めた。